広島/中村隆道

2008年08月09日


広島 作詞作曲 中村隆道

何かに急き立てられるようにギターを抱えて電車に乗り込んだ
積もりに積もった思いと共に 俺は広島へと向かった

幼い頃から話を聞く度に 言い知れぬ憤りが胸をよぎった
言葉を詰まらせてあのときを語る老婦人の顔を今でも覚えている

あれから何年も流れて 物分りは少し良くなったけれど
純粋な痛みは次第に次第に薄れてく 変なやるせなさだけが残った

そんな風に思いを辿りながら なんとなく落ちつかない気持ちで
覚めた弁当の紐を解くころには 大阪をとうに過ぎていた

広島駅を降りて路面電車に乗り 灼熱の公園にたどり着いた
幾千の折り鶴が掛けられた少年の像が天高く指差し 
俺は力の無さ青い空にたたきつけた やけに暑い夏 広島から

ゆっくりと公園をまわって 鉄橋の上でふと考えた
あの閃光が瞬いた瞬間に 人は最期に何を見たのだろう

骨組みだけの建物の前で 丸めてた新聞を読み返した
色んな考えがあるらしいが 何の考え方があるものか

鯉城から広島を見下ろしたら 少しだけ気持ちが晴れてきた
また来ようと駅に向かって 俺は広島をあとにした

目が覚めてタバコに火を点けるころには品川のビルたちが見えて来た
東京に着いてまたいつもの生活が 何の音も無く過ぎて行く


広島駅を降りて路面電車に乗り 灼熱の公園にたどり着いた
幾千の折り鶴が掛けられた少年の像が天高く指差し 
俺は力の無さ青い空にたたきつけた やけに暑い夏 広島から


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